山の木が椅子になるまで

2022.11                        
Woods and People MARUMORIが整備する丸森町の研修の森「親林」を初めて訪れた。この日は刈田さんと島影さんに作業を見学させてもらう。まず作業道入口付近で立ち枯れて倒木の危険があったクリの木を伐採していく。その後、すでに伐採されて林の中に点在していたスギの間伐材を林内作業車に刈田さんと島影さんの二人で協力して積む。作業道の上の方から、山を下りながら集材していき、土場へ運ぶ。

2023.2.6  
再び丸森の親林を訪れ、木材を購入させてもらう。何を基準に選んでいいのかわからなかったので、径が大きいものと小さいもの曲がりがあるもの、まっすぐなものなど色々なバリエーションのスギの間伐材を購入してみることにした。前回見学させてもらった時に伐採していたクリの立ち枯れ材も購入した。バックホウでトラックに積み込み、丸太を製材してもらうため、山を下って車で10分ほどの所にある小野材木店を目指す。





2023.2.6
小野材木店に到着した丸太が、小野さんの見事なフォークリフトさばきで、帯のこを通す台車の前に運ばれる。何本かを賃挽きしてもらうことにする。材寸の指示は、尺寸でやり取りされる。慣れていない私たちはいちいち頭の中でmmから寸へ変換する計算をしながら、なんとか取りたい寸法を伝える。スギ材の一本は建築ダウナーズがそれまでホームセンターなどで最もよく購入していた材寸の一つ12割材(断面寸法が24×36mm)と同じ寸法に、一本は1寸(約30mm)の板材に、もう一本は住宅などに使われる一般的な柱の寸法である105mm角と、残った部分は余りが出ないようにお任せして板に挽いてもらった。クリ材は曲がりの方向を見てもらいながら、3枚に挽いてもらった。あれこれ悩んだり、質問したりしながら1時間ほどで製材が終わった。
挽いてもらった材と残りの丸太を、小野さんが再びフォークリフトで華麗にトラックに積み込んでくれた。
お代を支払い、お礼を言って小野材木店をあとにする。




2023.2.6
製材してもらった木材をトラックの荷台に載せ、丸森町から仙台市若林区六丁の目の作業場に運ぶ。道の凸凹で車体が跳ねる度、荷台の木が無事か確認しつつ走行し、無事仙台に到着する。伐られたばかりの丸太は水分を含んでかなりの重量で、バックホウにもフォークリフトにも頼れない作業場で、三人で引きずるようにして運び入れた。





2023.2.17〜3.11
作業場で開催したオープンスタジオで、来場者にまだ切断面がみずみずしい木材を見たり触ったりしてもらいながら、天然乾燥させる。丸太の皮も剥いてみようとしたが、なかなか向けなかった。
挽いてもらった板材や線材は、乾燥するにつれ反りや縮みが発生した。





2024.9
乾燥させたクリのアクを抜くため、屋外で雨にさらす。
その後電動カンナで表面を平らに削り、幅の狭い板をはぎ合わせて一枚の天板を製作した。



2024.2
2023年2月のオープンスタジオで乾燥させたスギと、この年新たに丸森町の親林で伐られたスギは、仙台市宮城野区新浜地区の畑へ運び、立て掛けるようにして日よけ屋根を制作した。雨風や日にさらしながら乾燥させる。同じ木から取られた板を順番にならべ、もともと1本だった木の形を表わした。訪れた人には、山に生えていた時の木の姿を想像したり、乾燥していく様子を見たりしながら、屋根の下で休んでもらう。夏至が近づくと、板と板の間にもたせた隙間から入る光が入る。





2024.10.6
東京都港区にて、2023年に一度挽いてもらい乾かした板を再び束ねて一本の丸太の形にし、参加者と一緒に運ぶイベントを行った。1年近く乾燥させたとはいえ130kgの重さがあった丸太を12人で担ぎ、かつての材木町跡周辺を練り歩いた。
( photo by Yamane Kaori)




2025.1
オープンスタジオや東京出張を経て1年以上乾燥させた間伐材を使って、これまで行ってきたインタビューの中から印象に残っている言葉やエピソードを形や工法に反映させた10種類の椅子を制作した。椅子に座ってもらいながら行うトークイベントを開いたり、オープンスタジオで展示したりした。