
2024年から2025年にかけて、これまで行ってきたインタビューやリサーチから、印象に残ったエピソードや言葉を形や作り方に反映させた10種類の椅子を試作しました。椅子の材料には、丸森町で自伐型林業を行う刈田路代さん(→interview #2)らWoods and People MARUMORIが整備する山の間伐材を使用しています。
ここではそれぞれの椅子にまつわる話を紹介します。

「なんだや、柿とかの箱とか。今ダンボールだべなんでも。昔は木の箱だね、こんな細いようなのばぶつけて。ダンボール箱の前の時代。箱なんか作ったね。」
箱をはじめ、生活に必要なものは何でも木から作っていたという話を聞いて、シンプルな箱を間伐材で作った。舞台などで使われる箱ウマのスリットの部分に虫に食われた跡が模様のようになった板の耳の部分を使用した。
小野一宏さん、桂子さん(小野材木店、丸森町 、2023)
→interview #9

約 2 年前に 12 割材(24mm*36mm) に挽いてもらった杉の角材が、乾燥して反ったり縮んだりしたものを再び製材。杉原さんの「総持ち」という言葉をたよりに、細い材を用いて、部材数と接合部を増やして作った、軽く丈夫な椅子。
杉原敬さん(木工房 瑞 代表/大工、南三陸町、2023)
→ interview #4

丸太を四角く製材していった時に、使えない部分として残ってしまう皮の近くの部分(=耳)から作った子ども用の小さい椅子。

放置竹林の竹の活用案として提案し、これまでに仙台市の井土地区と塩伽市で制作ワークショップを開催したスツール。脚は井土の竹で、座面は丸森の杉板を使用。

「10t 車に 2m の直径 12cm くらいの丸太杭を一人で作ってですよ?次の日に満車にしてしまうような、それくらいパワフルな母でしたね。」という寺島さんの言葉を聞いて制作したスツール。山の斜面など平らでない屋外でも地面に挿して使うことができる。
寺島信弘さん(寺島木材、仙台市泉区、2024)
→interview #8

「昔の建物は製材じゃないんだよ、あとからだからね、ノコギリとかでてきたの。昔は楔とかでバン!と割ったわけだ。そうすると目の通り割れるから丈夫なワケさ。今は、曲がった木でもまっすぐ切っちゃうから弱くなるのさ。」
片山鶴衛さん(東建設、仙台市泉区、2023)
→interview #8

建築用材 12 尺(約 3.64m)確保のために約 4m に切られた丸太を挽いた板から無駄ない寸法で作る。500mm×8枚で1枚の板から椅子を 2 脚作ることができる。

大工さんや材木店の作業場には、大空間を作る各々の工夫がある。郊外では丸太を使った柱や梁の工房もあった一方、街場の板橋材木店は、製材後の細い材料で比較的容易な接合方法や斜材を利用して構造体が作られていた。
板橋初郎さん(板橋材木店、仙台市青葉区、2023)
→interview #5

丸森の親林で立ち枯れていた栗の木を使用してダウナーズが昨年作ったデスクの端材を利用。大きさは 50 センチしかなく端は腐っていたが、腐敗部分をノミで落とし、手に持って運ぶことができる小さい椅子を作った。

「そりも引っ張ったね。そりは一人一台引くんだからね。」
丸森町の佐藤秀夫さんが、かつての山仕事で人力で木材を運ぶのに使っていたそり。お聞きした大きさや作り方を参考に再現した。本来丸太を載せる部分にはモミの板を取付け、ベンチにした。
佐藤秀夫さん(元モトヤマ・ソリひき、丸森町、2022)
→interview #3
photo by Masakazu Onishi