#9 小野一宏さん(小野材木店、丸森町)にお話を聞く

「丸太の方向で、例えば南側節なし、北側結構節ありみたいなものが大体普通の木だから。結構気い使って挽いてるんですよ。なんも考えねえで切ってるように見えるかもしんないけど(笑)」


Woods and People MARUMORI の刈田さんに紹介していただいた、同じく宮城県伊具郡丸森町にある小野材木店。元々は粉をひくためのタービンを木材を挽く際にも使うようになったことから、材木の仕事が始まったそうです。かつて大工がたくさんいた頃は、自分の山から伐った木を使い、長い時間をかけて家を作ったといいます。建材を製材する他にも、柿の木箱作りや、棺桶や塔婆など、暮らしに必要なものを手作りしていたというお話をお聞きしました。

話し手:小野一宏さん、小野桂子さん(一宏さんのお母さん)、戸村さん(小野材木店の従業員) 
聞き手:建築ダウナーズ(菊池、千葉、吉川)

 ◯筆甫で材木屋をしていたとき

菊池:この場所に来られる前は、他の場所で材木店をされていたんですか?

小野: 筆甫(ひっぽ)の清流庵って蕎麦屋さんがあるでしょ、その場所でやってたんだね。あそこで何年やったんだか。

母:随分やったな。

小野:うちの親父が始めたんだね。

菊池:じゃあ小野さんで二代目ですね。

千葉:もともと木に関わる仕事をされてたお家だったんですか?

小野:もともとはなんか色々やってたんだね。うちの曾祖父さんが、タービンで米つきしてたんだって。

母:うどんも挽いたし...。

菊池:木材を挽くタービンで元々は粉をひいてたんですか?!

母:そう、なんでもやったんだべ。粉挽きもしたんでねえの。米はついでだけっどもな。
売ったんだがらなあ。粉挽くきして、うどんつきして、材木屋さんして。

小野:川の水を引っ張って、タービンを利用して、水の力を使って製材してた時なんかもあるみたいなんだけどね。あんまり力が安定しなかったり。

菊池:川の水量とかによって?

小野:あと田んぼの時期とかみんな水引っ張ってったりするから。 

千葉:水力で木を挽いてた時って、帯のこではなくて、丸いノコでしたか?

母:んだね、丸ノコだね。タービンがあって、タービンが回れば丸いおっきいノコギリが回って。

菊池:水力ってことは川が近くを流れてたんですか?

戸村:家の後ろが川だから。

千葉:水車みたいなのを回すんですか?

母:タービンだね。

戸村:水車は見たことねえね。

母:んだな。川もおっきくはねえな。でも、こう深くなくてはだめだべ、水汲んだごった。

戸村:昔は、深かったの。今はもう砂が溜まって。

小野:筆甫でも材木屋20年くらいやったかや。母ちゃんとかはもっとやってたんだからやっぱり30年くらいやってたかや。

千葉:筆甫でお仕事が始まったのはいつころ?

小野:私生まれてない時からだから、今私61だから、まあ60年前くらいはやったでしょうね。

千葉:お母さんが子供の時からそういう仕事は色々されてたんですか?

母:嫁さんさ行ってからだからね。最初は米やっててね。

千葉:そのタービンみたいなのは作られたんですか?

小野:曾祖父さんが作ったんだね。タービン自体はどっからか持ってきたんだろうけど、その仕組みとかは曾祖父さんやったみたいですね。設置したりなんだり大変だったんだべね。

菊池:その頃はどんな木をなんのために切ってたか、ご存知ですか?やっぱり家を建てるための木材が多かったですか?

小野:そうですね。住宅の。

菊池:丸森とか筆甫のあたりの家ですか?

小野:ええ、そうですね。今なんか筆甫に大工さん数えても一人二人くらいなんですけど、昔は結構大工さんやられてた方もいたし、今はもう大工さんの数も激減してるけどもね。

千葉:そういう大工さんは丸森以外で仕事してた方もいらしたんですか

小野:昔はほとんど地元で、なんつったらいいんだべ、建築してる間のスパンが長いっすよね。そして何から何まで、例えば、窓の桟作って、ガラス入れてって、細いのから全部大工さんの仕事だったの。

吉川:今みたいな既製品じゃなくて。大工さんが作るものも多かったんですね。

小野:そうですね。昔の時代は。何でもかんでも挽くのだって自分の山から出してきた木でやったからね。

千葉:材木屋さんの数も多かったんですか?

小野:ああ、多かったですよ。 筆甫だって田舎だったけど、うちともう一軒あったし、大工さんも製材機持ってて、やってる人もいたから。


◯木材の建材以外の使い道

吉川:建材以外のもう少し小さい道具とか?それこそさっき話に出てきた箱とか、農業用具とか、小さい材を加工することもあったんですか?

小野:昔はあったっすね。例えば、棺桶とか。

菊池:棺桶!?そんなものまで作ってたんですね。棺桶の薄い板ってことですよね。

小野:はいはい、あとは、塔婆!あれ、もみの木。

菊池:え〜〜! それはお寺から頼まれるんですか?

小野:いや、葬儀屋さん。お寺からもあったかな。今ならちゃんとしたの売ってるんだべけどね。

菊池:塔婆を誰がどこの木で作ってるかなんて考えたことなかったですけど、昔は地元で伐った木から作ってたんですね。

小野:昔はなや。

吉川:それも最近は全くないんですか?

小野:ないっすよ。

吉川:なん年くらいまでありましたか?

小野:筆甫にいた頃、もう30年前でねえかや。

菊池:他には何かありますか?建材以外の作ってたもの。

小野:なんだや。柿とかの箱とか。今ダンボールだべ、なんでも。昔は木の箱だね、こんな細いようなのばぶっつけて。ダンボール箱の前の時代。箱なんか作ったね。

母:んだね、木箱を作ったり。色々。

菊池:柿の生産も盛んだったんですね

母:柿はうちではしなかったね。柿の木がねがった。柿の木の箱はおらいで作ったけっども。ほでもおらいでは柿はしねがったな。箱だけ。

菊池:箱は結構売れたんですか?

母:売れたーー。作らせてもらって。夜中までぶって。箱作り。釘ぶって。

戸村:(製材だけでなく)箱まで作ってたんだ。

母:箱まで作ったんだ。

菊池:板に挽くところから、箱作るまでやったんですね。

吉川:それはお母さんと、ご家族とかご兄弟とか皆さんでされてたんですか?

母:んだね。あとその、柿あいつしてるあたりも持っててぶったべがらね。箱作ったんだべ多分。 おらいでも細いの作ってやって。大友さんって。その人はいっぱい柿集めてやったんだ。今だってやってんでねかな。

菊池:他には、例えば稲刈りした時に稲を干す時の棒とか、そういうのはなかったですか?

母:ああ〜、みんな干す時の棒は、自分が個人でもうやるべ。しまっておいてな。 はせがけってやつだね。

小野:それこそ竹でもやってたね。

吉川:これは製材所に頼むほどでもないっていうか、自分たちでやってたんですかね。

小野:んだね。細いとこでね。

千葉:足場丸太とかって使ってなかったですか?

小野:足場はさすがに聞かないね。足場板とかは杉の板使ってたな。

菊池:そういうのも挽いたりしてました?

小野:挽いたね。足場。

千葉:足場板を支える支柱みたいなのは何使ってたかとか記憶ありますか?

小野:それは脚立かな。

戸村:あれ、丸いパイプの。

千葉:単菅パイプ。

小野:そうそう、中国なんかだと竹でやるんだね。

千葉:なんか結構関西だと足場丸太って出回ってて、4m以上の細い小径の丸太が売ってて。足場として使ってる人はほとんどいないとは思うんですけど。知り合いの大工さんも若い頃足場丸太でめっちゃ危なかったって。

戸村:へえ〜。所変われば、ね。

小野:ハァ〜そうすか。


◯材を挽くときのこと

千葉:前に丸太を挽いてもらった時って、なん分いくら、みたいな計算だったじゃないですか。
それが今言ってた無節材みたいなのだと、金額の計算ってどう変わるんですか?何分いくらとはまた別の計算方法?

小野:いい丸太だと、もう滅法にそんな挽いてしまったら何もなくなってしまうから。ここのここがいいから、ってみたりすると、やっぱり時間もかかるし。

千葉:一本あたり丁寧に挽くから単純に時間もかかってくるってことですね。

小野:径測って、それで一本なんぼで挽いてもいいですよ。石(こく)でも、これいくらって最初から。それで計算した方がいい丸太なら。悪い丸太なら時間で挽いた方が早いかも知んないね。丸太の方向で、例えば南側節なし、北側結構節ありみたいなものが大体普通の木だから、、、気い使って結構挽いてるんですよ。なんも考えねえで切ってるように見えるかもしんないけど(笑)。

一同:(笑)

菊池:いや、すごく作業が早いので(笑)。

千葉:でもいっぱい挽いて来たから早くできるっていう

菊池:今言ってたみたいに、その木をみて、挽く時に気をつけてることってありますか?

戸村:いいの挽くときはやっぱり、いい面出して挽きたいわけ、そんくらいでないかい?

菊池:あーいい面を出すようにって。

戸村:うん、最初にね。それできたらバンバンバンって。笑

小野:本当にいいものだったらちょっとあれ、オーバーサイズに少しおっきく挽いて、また挽き直しするんですよ。いいやつは。やっぱり狂っちゃうから。ビッタンこにやると必ず。遠くで見てっとなんともないように見えるけど、近くで見るとこういうふうに曲がってんですよ、木の質によって。曲がんないものもありますよ。

菊池:あ、切ってるあいだに?

小野:そう、挽いてる間に。

菊池:四角に近い状態にしてからまた挽いた方が精度が出るっていう。

小野:苦情も来ないし笑。先の寸法二部違う、とか。

菊池:きれいな面っていうのは、こういうのみたいなのはあるんですか?

戸村:やっぱり節ねっつうの。見てみるとわかっけど。

吉川:じゃあ丸太の状態で外から皮とかを見てってことですよね。枝のあととかをみて、中がこうかなっていうのをイメージしてから。

戸村:そうそう。

菊池:木の中身とか想像できるんですか?

小野:うん、大体わかるべね。肌見て。ここが節でねえなっていうの大体。

菊池:どういう木目かなみたいなのも大体わかるんですか・

小野:やっぱり曲がってるとダメだね。

菊池:一日になん本くらい挽くんですか?大体

小野:どういうの挽くかにもよるよね。太いの挽くか、細いのだと、5分くらいで細いの一本挽くかや。柱みたいな、母屋つうか、10センチくらいの。そんなもんだね。

菊池:さっき言ってたみたいにいい木だったらもっと時間かかるってことですよね。

小野:あーかかりますね。どうでもいいのを八回挽きするなら、5、6分で。

菊池:ここにある木っていうのはどのくらいの期間で手に入れたものっていうか、いつからここにあるものなんですか?

小野:丸太かい?板製品?丸太ならあんまりおくと、ダメになっちゃうからね。

吉川:え、ダメになっちゃうんですか?

小野:はい。

菊池:皮がついたままっ置いておくとっててことですか?

小野:そうそうそう、あんまり水分上げてからの木とか、1年置くと下手すっと虫入っちゃうから。早めに挽いておかないと。

菊池:あ、挽いた方が長持ちするんですね。

小野:挽いて、、、そうですね、屋根の下さ置いとくとか。そうすれば大丈夫だけど、あんまり構わないで置くとすぐダメになっちゃうからね。

千葉:今ここに置いてあるので、以前来た時に自分のじゃ無いのもあったりするみたいな話をして居たじゃ無いですか?これどうすればいいんだろうみたいなのもあるんですか?

小野:あ、あります(笑)。

母:このケヤキいっぱいあって、もう 。

吉川:自分のじゃないっていうのはどなたのなんですか?工務店さんのとか?

小野:個人のやつ。大金持ちの人(笑)。

菊池:それは木を伐る仕事をされている人?自分の山から出した木なんですか?

小野:いや、どっかから買った木なんじゃない?

母:いつかは建てたいんだべ。だけど、建てらんねんだべ。

小野:技術のある大工さんなかなかみっかんない。あれ、さしもの作りって、昔の和室の作り。例えば、この桁が見えて、下にこう溝つけて、全部木が見えるような感じ。

母:今やる人いねんだね。

小野:大変だっつてたな。

菊池:じゃあ大工さんが見つかったらここで挽いて使うって感じなんですか?

小野:はい、なんか入れるようにもう倉庫作ってるらしいんですけど。どうなんだろうな〜みたいな笑

一同:笑

母:しまうったってまた出してこなくてはなんねべし。ダメだろうな、一生。

一同:笑

菊池:向こうにあったやつですか?

小野:そう、長いの。100年、200年製なんだから。それは杉ね。いや〜、本当のなかんとこの赤太のとこは腐れねえかも知れねけど、外さ置いたんではどうなんてるか。もう起きすぎてるような気すんですけど。

千葉:なん年くらい置いてるんですか?

小野:もう5、6年置いてるんですけど。

母:どうする気なんだべ、ほんとにこいつよ〜。

吉川:笑。挽いて、雨がかからないようにしとけばいいんですか?

小野:そうですね。あんな長いのどうしようもないもん

母:そいつ今作ってんの?

小野:入れておくらしいんだけど。

母:あ〜こりゃまたダメだわ、一生もう。

一同:(笑)

菊池:木材に関わる仕事とか業界とかが、これからこうなっていくといいなみたいなのってありますか?。山がこうなってくといいな、とか

小野:やっぱり丸森の木使って建ててもらうようになった方がいいと思いますよね。やっぱりみんな興味なんて持ってないし、山なんてだんだん荒れ放題だしね。やっぱりうまく回転して、山も綺麗になるし、自分たちが住む家も立派なの作ってもらえれば。

母:杉の木だけだとおっきくなったけども筆甫はダメでね?おっきくなったって。なかなか人がいなくて。家も作る人がいなくなるし。なんとかなればいいけども。蕎麦屋なんかできたけども昼間ばりだもんな。

小野:丸森も人口こうだもんね。(右肩下がり)

母:下り坂だべ、今度。

小野:なんか考えてけね?笑なんかいい方法ないかや

母:温泉でも出ればな。

一同:(笑)

(2023年、丸森町、小野材木店にて行ったインタビューから抜粋したものです)